トルク精密工業では、PP+GF・PBT+GFなどのガラス入り樹脂(ガラス繊維強化樹脂)の射出成形に対応しています。

ガラス入り樹脂は、強度・剛性・耐熱性に優れ、金属部品の樹脂化(金属代替)にも使用される材料です。一方で、反りやウェルド強度、金型摩耗など、成形には特有の注意点があります。

自動車関連部品での量産実績をもとに、ガラス入り樹脂の特性と、射出成形で注意すべきポイントをご紹介します。金属端子とガラス入り樹脂を一体化するインサート成形にも対応し、試作検証から量産まで一貫してご相談いただけます。

ガラス入り樹脂(ガラス繊維強化樹脂)とは

ガラス入り樹脂

ガラス入り樹脂とは、ベースとなる樹脂にガラス繊維(GF:Glass Fiber)を混ぜ込んだ複合材料です。「ガラス繊維強化樹脂」「GF強化グレード」とも呼ばれ、材料名では「PBT-GF30」のように、ベース樹脂とガラス繊維の含有率(重量%)で表記されます。

ガラス繊維を添加することで、ベース樹脂単体と比べて以下の特性が向上します。

強度・剛性の向上
引張強度・曲げ強度・弾性率が大幅に向上し、荷重のかかる構造部品に使用できます。金属部品の樹脂化にも用いられます。

耐熱性の向上
荷重たわみ温度(HDT)が大きく上昇します。PBTでは非強化材が約60〜70℃に対し、GF30%では約210℃前後まで向上し、高温環境での変形を抑えられます。

寸法安定性の向上
成形収縮率と線膨張係数が小さくなり、温度変化や吸湿による寸法変化を抑えられます。

クリープ特性の向上
高温下で荷重をかけ続けた際の変形(クリープ)が小さくなり、長期間の使用でも形状を保ちやすくなります。

一方で、ガラス繊維の添加により反り・ウェルド強度の低下・表面外観の悪化・金型摩耗などの課題も生じます。これらへの対策が、ガラス入り樹脂の成形品質を左右します。

ガラス繊維の含有率と特性の関係

ガラス繊維の含有率

ガラス繊維の含有率は、一般に10〜50%の範囲で設定されます。含有率が高いほど強度・剛性・耐熱性は向上しますが、成形性や外観、靭性は低下する傾向にあります。

含有率特性の傾向主な用途
GF10〜15%強度・剛性が向上しつつ、成形性・外観を比較的保てる。反りも小さめ外観部品、薄肉部品、小型ハウジング
GF30%最も一般的な含有率。強度・剛性・耐熱性とコストのバランスが良いコネクタ、構造部品、電装部品
GF40〜50%高い強度・剛性が得られるが、反り・外観・成形性の課題が大きくなる金属代替の構造部品、高荷重部品

要求性能に対して含有率が過剰な場合、材料コストや成形難易度が上がるだけでなく、反りや割れの原因にもなります。必要な強度を満たす最も低い含有率を選ぶことが、品質とコストの両面で重要です。

トルク精密工業で対応するガラス入り樹脂

ガラス入り樹脂対応素材

トルク精密工業では、以下のガラス入り樹脂の成形に対応しています。

材料ベース樹脂の特徴ガラス繊維添加による効果主な用途
PP+GF超軽量・耐熱性・耐薬品性に優れる。熱収縮が大きい強度・耐熱性が大幅に向上。金属代替の代表的な材料エンジンカバー、ファン、工業用ギヤ、ポンプ部品
PBT+GF電気絶縁性・寸法安定性に優れる。吸水率が低い強度・耐熱性が向上。吸水率が低いため寸法変化が小さいコネクタハウジング、センサー部品、モーター部品

上記以外のガラス入り樹脂についても、製品仕様を確認のうえ対応します。ベース樹脂の選定からご相談ください。

ガラス入り樹脂の射出成形で注意すべきポイント

ガラス入り樹脂は、非強化樹脂と同じ金型設計・成形条件では安定した品質が得られません。トルク精密工業では、以下の点に配慮して成形を行っています。

  • 繊維配向による反り
    ガラス繊維は樹脂の流れ方向に配向し、流れ方向と直角方向で収縮率が異なります(異方性)。この収縮差が反りの原因となるため、ゲート位置・ゲート数・肉厚設計により樹脂の流れを制御し、反りを抑えます。
  • ウェルドラインの強度低下
    樹脂が合流するウェルド部ではガラス繊維が配向せず、強度が非強化樹脂並みに低下します。ゲート位置の検討により、荷重のかかる部位や薄肉部にウェルドが入らないよう設計します。
  • 表面外観(繊維の浮き・フローマーク)
    ガラス繊維が表面に浮き出て、光沢ムラやザラつきが生じることがあります。金型温度を高めに設定して樹脂の表面転写性を上げるなど、成形条件で外観を改善します。
  • 金型・スクリューの摩耗
    ガラス繊維は硬く、金型のゲート部やキャビティ、成形機のスクリュー・シリンダーを摩耗させます。金型材質の選定や定期的なメンテナンスにより、量産中の品質を維持します。
  • 繊維の折損
    可塑化時に背圧やスクリュー回転数が高すぎると、ガラス繊維が折れて強度が低下します。繊維長を保つ成形条件を設定します。
  • インサート成形時の配慮
    ガラス入り樹脂は収縮率が小さいため、金属部品との収縮差は非強化樹脂より小さくなりますが、靭性が低いためクラックには注意が必要です。インサート部品の形状・予熱・成形条件を検討します。

トルク精密工業のガラス入り樹脂成形

ガラス入り樹脂の射出成形

反り・ウェルドに配慮した金型検討

ガラス入り樹脂の特性を踏まえ、ゲート位置・肉厚・リブ配置などを協力金型メーカーと連携して検討し、反りやウェルド強度の課題に対応します。

金属端子とのインサート成形

プレス加工した金属端子・接点板を、ガラス入り樹脂で一体化するインサート成形に対応します。金属部品のプレス加工から自社で行うため、金属と樹脂の双方を見据えた製造が可能です。

試作検証から量産まで一貫対応

試作段階での反り・強度・寸法の検証から、量産立ち上げまで一貫して対応します。

VA提案

金属部品の樹脂化(金属代替)による軽量化・コストダウン、ガラス繊維含有率の最適化、反りを抑える形状・ゲート位置の見直しなど、図面段階からのVA提案を行います。

金属部品の樹脂化(金属代替)にも対応

ガラス入り樹脂は、強度・剛性・耐熱性を活かして、ダイカストや板金などの金属部品を樹脂に置き換える「金属代替」に使用されます。

  • 軽量化
    金属と比べて比重が小さく、大幅な軽量化が可能です。
  • コストダウン
    二次加工(切削・めっき・塗装など)が不要になり、部品コストを削減できます。
  • 形状の自由度
    複雑な形状や複数部品の一体化が可能で、部品点数・組立工程を削減できます。
  • 防錆・絶縁
    腐食の心配がなく、電気絶縁性も得られます。

トルク精密工業では、プレス加工と射出成形の両方を自社で行っているため、金属のまま残す部分と樹脂化する部分を切り分け、インサート成形で一体化するといった提案も可能です。金属部品の樹脂化をご検討の際は、材料選定・形状設計の段階からご相談ください。

ガラス入り樹脂の成形事例

トルク精密工業では、以下のようなガラス入り樹脂製品の成形実績があります。

自動車関連の構造・電装部品
PP+GF・PBT+GFを使用した、強度・耐熱性が求められる部品の量産に対応しています。

インサート成形品(金属端子+ガラス入り樹脂)
プレス加工した金属端子をガラス入り樹脂で一体化したコネクタ・端子部品です。

金属代替部品
金属部品をガラス入り樹脂に置き換え、軽量化・コストダウンを実現した部品です。

ガラス入り樹脂の成形に関するよくあるご相談

  • ガラス入り樹脂で反りが出て困っている
    ゲート位置・肉厚設計・成形条件の見直しにより、反りの改善をご提案します。
  • 金属部品を樹脂化して軽量化・コストダウンしたい
    要求強度を確認のうえ、ガラス入り樹脂への置き換えや、インサート成形による部分的な樹脂化をご提案します。
  • ガラス繊維の含有率をどう決めればよいか分からない
    要求性能(強度・耐熱・寸法精度)と外観・コストのバランスから、最適な含有率をご提案します。
  • 金属端子をガラス入り樹脂で一体化したい
    インサート成形をご提案します。金属端子のプレス加工から一貫して対応できます。
  • ガラス入り樹脂で量産できるメーカーを探している
    自動車関連部品での量産実績を活かして対応します。量産先の変更もご相談ください。

ガラス入り樹脂の射出成形はトルク精密工業へ

トルク精密工業では、PP+GF・PBT+GFなどのガラス入り樹脂の射出成形に対応しています。自動車関連部品での量産実績と、金属端子のプレス加工から一貫して対応できるインサート成形により、強度・耐熱性が求められる樹脂部品の製造にお応えします。

材料選定や金属代替の検討段階からご相談いただけます。ガラス入り樹脂の成形、材料変更、量産先の変更などをご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。